CHALLENGE事業の挑戦

社会で活躍できる人材育成

飲食アルバイト経験を通じて社会で活躍できる人財を育成するアルバイト「ステップアッププログラム(SUP)制度」

人と向き合うことを正当に評価し、承認、賞賛する。 アルバイトの成長を加速させる全社共通の評価基準の開発。

「ここで働いて良かった」とアルバイトスタッフに実感してもらい、人と向き合える人財を育成できる会社として世の中へ貢献したい━━そんな想いから生まれたアルバイトスタッフのための評価制度がファイブグループにはある。

2020年11月、ファイブグループはアルバイトスタッフの「ステップアッププログラム(SUP)制度」を導入した。アルバイトスタッフの評価は、これまでは一般的な飲食店と同様、業務の全般的な習熟度や貢献度に応じて店舗ごとに行われていた。今回、プロジェクトが取り組んだのは、ファイブグループが大切にする “人と向き合うこと”に特化した全社的な評価基準の再設定と、経営理念に沿って公正に評価し、平等な昇格のチャンスが得られる環境の実現だ。

ランクは5段階。評価項目は、調理技術やレジ打ちといったオペレーションスキルに拠るものではなく、「好感度のある接客」や「仲間を承認する姿勢」など、「人」に向き合うことに特化したものだ。全員一律に「ルーキー」からスタートし、目標項目を達成することで、「レギュラー」「エース」と次々ステップアップしていくことができる。ランクに応じた能力給、バッジや制服が支給され、ランクとは別に1万円の役職手当がつく「アルバイトキャプテン」という役職制度も新たに定められた。

目標を設定し、本気で取り組むことが人を成長させる。

ファイブグループでは現場からの経営への提言により、新しい制度が生まれることが多い。「ステップアッププログラム(以下SUP)」は、現MJ-FUN事業部長であり、このプロジェクトの起案者の一人である利根川が、自身の店長時代に考え、現場で実行してきたアルバイトの評価基準が出発点となっている。

20歳前後は何かを学ぶには一番いい時期

「アルバイトスタッフは何かを学ぶには一番いい時期です。若くて吸収力がある。ファイブグループの店舗で働くことで、社会に出たときに役に立つ経験、能力を身につけて欲しい。そのために個々人が明確に目標を設定して、それに向かって本気で取り組むことで、能力をあげていける環境づくりを大事にしてきました。大切なことは、目標を達成したらきちんと評価され、承認、賞賛される場を、会社として用意するということ。SUPはそれを全社横断で実現するための制度」です。

企業理念と直結するブレない評価を

ファイブグループは各店舗の裁量に任される部分が大きく、これまでアルバイトの評価基準は各店長に委ねられていた。しかし評価基準が店舗によって異なれば、ファイブグループとして求められること、個に求められるレベル感にばらつきが出てしまう。利根川はそこに課題を感じていた。

「どんな働き方を求められるか、何を評価されるかは、企業理念と深く結びついているべき。その観点が弱まると、たとえば店舗展開を進めていくときに大事にすべき理念がどんどん薄まってしまいます。言葉にしたことをちゃんと実現するために、全社共通のぶれない評価基準の軸となるものが必要だと思いました」

「ファイブが大切にしていること」の全てをわかりやすい基準に落とし込む

数年前から考えを温めていた利根川は、2020年初頭、ファイブグループ全体で「お客様に向き合う」基準を見直すタイミングを捉え、事業の枠を超えSUP制度を全社展開することを居酒屋事業部の部長会で提案。各事業部長に想いをぶつけ巻き込んでいく。利根川自身が店舗や事業部で実証実験し成果を上げてきたこと、実績を積み重ねてきたことへの信頼から、経営の承認が下り、全社プロジェクトが動き始めた。利根川が制度設計を進めていくうえで工夫したことは「機能すること」だという。

「どれほどよい制度でも、わかりやすく、すぐやれるものでなければ、現場で機能しません。まずは全業態の業務内容を洗い出し、他の事業の現場で使用されていたアルバイトの育成制度も取り入れ、明快で汎用性のある評価項目を定めました。理想のアルバイトスタッフを育成する制度として、成長していった先に、ファイブグループの理念を体現するものになっていることはもちろん、社長が要望する“お客さんと向き合う人を評価する”観点や、仲間を承認・賞賛するためのわかりやすい仕組み、アルバイトの社員登用に向けた評価基準など、人材育成に関するさまざまな課題を解決する工夫をプロジェクトで話し合い、盛り込んでいきました」

明確な指標ができ、自信を持って人を評価できるようになった。

2020年11月、ファイブグループ全店舗で一斉にSUP制度は導入された。この制度を使って実際にアルバイトスタッフの評価をする立場となる店長たちは、どのように受け止めたのだろう。『吉祥寺っ子ダイニングPecori』のカミーラ店長に話を聞いた。

設定された指標についての納得感は?

「会社が大事にしている理念が基盤になっていて、ステップアップの合格基準も明確です。学びの体系がしっかりしていると感じます。私自身、基本に立ち返ることができるのもいいところ。評価する側の立場としては、間違って教えるわけにはいかないという責任もあり、自分自身の学びにもなっています」

■STEP UP

Step1
ルーキー
トレーニー理念やルールを理解している
Step2
レギュラー/パートナー1
+お客さんの「また来たい」の土台となる基礎的な業務を2つ以上のポジションで担当できる
Step3
レギュラー/パートナー2
+お客さんの「また来たい」に貢献し、シフトのスタメンを張れる
Step4
エース/トレーナー1
+メンバーの見本となり、お客さんの「また来たい」に向き合える後輩を育成できる
Step5
エース/トレーナー2
+メンバーのリーダーとなり、チームがお客さんの「また来たい」に向き合えるようマネージメントメンバーとしてエンロールできる

SUPを導入したことで店舗やアルバイトの変化は?

「チームワークがよくなりました。今までは仲良しこよしでやっていたのが、いい意味でライバル心が出てきたように感じます。向上心や主体性が生まれましたね。SUPは各自が目標とする項目を宣言してもらい、達成したら自己申告してもらうのですが“できるようになったので面談してください!”と、積極的に言ってくるようになりました。スタッフの成長をひしひしと感じる機会が増えて嬉しいです。現状に満足することなく、ひとつ達成したら次の目標に向けて意欲的にチャレンジしていく姿を見て、頼もしく感じています」

がんばらなきゃいけないこと、目指すことがハッキリした。

現場のアルバイトスタッフはSUP制度をどのように受け止め、働き方はどのように変化したのか。『吉祥寺っ子ダイニングPecori』のゆっこは、導入から半年でトップランナーの「エース2」まで一気に駆け上がった。ゆっこは以前にファイブグループの店舗で3年アルバイトを経験後、一度他業界に出てから、2020年8月にファイブに戻ってきたスタッフだ。

「前にファイブグループにいたときは、仕事自体は楽しかったけれど、何をすれば時給が上がるのかが曖昧でモヤモヤしていました。SUPがはじまって目標や項目が明確になりました。いま自分ができていること、がんばらなきゃいけないこと、目指すことがハッキリしました」

SUPの説明を聞いて何を目指そうと思いましたか?

「負けず嫌いなので、一番上のランクになりたい!(笑)そのために自分のできていないことを毎日シートに書いて、着実に実行するようにしていきました。ランクごとの目標には、お客さんと向き合う項目もあれば、スタッフとの関わりを強くする項目もあります。スタッフそれぞれが何をがんばっているのか知っているので、切磋琢磨しながらお互いに成長しあえるいいチームになっています」

トップランナーである「エース2」になって感じることは?

「ランクがあがるとスタッフに教える立場になります。チーム内での役割がハッキリして、やるべきことが見えるので、仕事がもっと楽しくなり、評価が目に見えるカタチになりました。上位ランクになるともらえるバッジがあります。お客さんに“それ何?”と聞かれてSUPの話をするとスゴイねーと驚かれます。全社共通の指標なので、ファイブの他店舗のスタッフにも負けたくない!という気持ちも芽生えました。ランクが上になるほどプレッシャーも感じるけど、だからこそ働きがいがあります」

人と向き合える人材を育成し社会へ輩出することで、世の中へ貢献したい。

SUP導入の手応えを、利根川はどのように感じているのだろうか?

「そもそもこの制度をはじめた経緯は、がんばれば時給があがるという承認以上に、店舗から卒業した後に役立つ経験、目標設定する習慣を身につけて欲しいということにあります。自分で目標を設定して、チャレンジし、乗り越えていくという経験自体に大きな価値がある。決めたことを達成していくかどうか。成果を得るために、まずやってみるということ。それは、これからどんな仕事をしていくにしても役立つ力になると信じています」

お客さんと向き合うということ。働くことと向き合うこと。そのためにはどんな能力が求められるのか。SUPはそこを明確に定義した。そして「仲間を承認、賞賛する」ことを具体的に示した。

「褒めることが苦手な人は意外とたくさんいます。その人が何をがんばっているのか知らなければ、褒めることもできない。当人はがんばって達成したことがあるのに、それが認められなければ、いきいき働けなくなる。目標を共有して、いいことを“いいね!”と褒められれば、自己肯定感が得られて、もっとがんばれるし、もっと自分を磨こうと思うようになります」

利根川が目指すのは、人と向き合い、チャレンジできる人を社会へ輩出すること。それが会社として世の中へ貢献することだと考えているからだ。

「世の中にはもっと賞賛が溢れていたほうがいい。目標を設定して、達成した人をちゃんと褒める。働いて成長を実感できる。それが増えれば無気力な人がいなくなる。元気に働く人が増え、いいお店を多くすることで、お客さんも元気にできる。その輪を日本中に広げていきたい。自分自身、自分の店舗だけでなく、会社全体に影響を与える立場になれるよう必死にがんばってきました。今後、SUP制度は社員への導入も進めていきます。ファイブグループが大切にする理念を薄めることなく、日本中にファイブのお店を展開していきたいと思っています」

ファイブグループは、学生にも飲食店舗でのアルバイトの経験を通じて。人にとことん向き合う経験をして欲しい、その経験は必ず社会人としての土台になると考えている。今後も本気で仕事と向きあい、チャレンジする人を育てていくためにSUP制度を磨き、一人ひとりの「能力を上げていける環境」を整え「働く人の自己実現」の仕組みを磨いていく。