CHALLENGE挑戦する風土

子ども食堂

ファイブグループらしいスタイルの地域貢献 「子ども食堂」プロジェクト

やりたいのは、“楽しいでつながる世界をつくる”こと。 「子ども食堂」もその理念を体現する活動のひとつ。

2020年9月6日、ファイブグループ初となる「子ども食堂」が「串とあて巻き 居酒屋大悟 藤沢店」で実施された。当日参加したのは10組16人の子どもたち。地域の農家からご協力いただいた食材と自分たちでつくる手巻き寿司でお昼ごはんを楽しみ、クイズ大会などのレクリエーションを行った。「居酒屋大悟」のブランドディレクターである阿部がテーマとしたのは「ともだちづくり」。自分自身が子育ての最中ということもあり、地域に頼れる友達や場所があればいいな、と日頃から感じていたからだ。当初はイベント的な要素が濃かったが、地域が本当に必要とすることに応えるべく、次からは提供数を増やすことを重視。店舗が無理なく継続できるスタイルを模索し、毎週日曜の開催を経て、2021年7月からは日常の営業に組み込む形で「子ども食堂」を毎日運営している。全社横断で取り組む地域貢献プロジェクトにおいても、「子ども食堂」は活動の柱だ。これから何を目指していくのか。プロジェクトメンバーによる座談会を行った。

山崎:「子ども食堂」の言い出しっぺであり、地域貢献プロジェクトのまとめ役。

阿部(コバさん):「子ども食堂」実施のノウハウや、継続していくためのアイデアを提供する企画担当。

荒川:吉祥寺エリアの「子ども食堂」活動の推進と、居酒屋事業部の巻き込み担当。

木戸口:横浜エリアの「子ども食堂」活動の推進と、B級グルメ事業部の巻き込み担当。

子どもたちがわいわい食事を楽しめて、安心していられる場所をつくる。

店舗での広報活動

山崎:そもそも「子ども食堂」のきっかけとなったのは、「居酒屋大悟」がコロナ禍の休業でお弁当を売り始めたけど、売れなくて残った弁当を地域の方に配ったら、営業再開後に売上が伸びたという話を聞いたことなんだよね。

阿部:もともとお客様だった方の来店頻度があがり、新しいお客様を連れてきてくれることや、紹介で来店してくださる方も増えた。

山崎:それを聞いて、地域のお客様に喜ばれることをするってやっぱり大事だなと。ちょうどその頃、知人から「子ども食堂」の活動について話を聞く機会があり、これをつなげて、ファイブでも何かできることはないかなと思って、コバさんに相談したんだよね。

阿部:自分自身、夫婦共働きで子育て中。子どもを安心して預けられる場所があればいいな、と常日頃から思っていました。「子ども食堂」には、貧困問題を解決するといった社会的な文脈もあるけど、まずはファイブグループらしく、子どもたちが安心して過ごせて、わいわい食事を楽しめる居酒屋になるのはいいなと。そこが企画の出発店。

地域のために「これがやりたい!」という連鎖を生むことが大事。

活動報告をお客様にも共有する

山崎:最初の「子ども食堂」を実施するまでに、やることは多かったよね。

阿部:はじめての取り組みだったし、コロナ禍で実施するという責任もあった。誰彼かまわず広報はしたくなかったけど、必要な人にはちゃんと届いて欲しいから、地域の社会福祉協議会や、「子ども食堂」を運営しているNPOと話をして、必要なお子さんに声かけしてもらうこともした。いま農協から食材を提供いただいているけど、そうした社外の関係者や地域とのつながりも一気に広がったね。

山崎:社外の方が好意的に協力してくれたことはもちろん、スタッフが意欲的に関わってくれたことも驚きだった。

阿部:最初から大事にしたいと思っていたことは、やらされ感があったらよくないということ。自分がやりたいと思っていることでも、絶対に強制はしたくない。店長の藤原くんをはじめ店舗スタッフが、自分たちから「やりたい!」と言ってくれて、主体的に「子ども食堂」に取り組んでくれたことが、今も店舗で活動を継続できていることにつながっている。

山崎:地域貢献になるし、社会の役に立つことだけど、金銭的な利益になることじゃない。だからなおさら「地域のためにこれをやってみたい!」という熱い想いを持って、主体的に動いていくこと、その姿を見ることで「自分もやりたい!」と思う人の輪が連鎖していくことが大事だよね。

これまでにない新たな経験、新たな出会い、新たな機会をつくる。

山崎:地域貢献はファイブグループの幹部合宿で重要テーマのひとつに据えられて、全社横断のプロジェクトとして取り組んでいくことになった。地域貢献プロジェクトに参加することになって、最初はどんなことを考えた?

荒川:もともと事業として“地域で一番愛される店を創り続ける”を掲げているので、お店の営業を通してお客様に楽しんでもらうことが、地域貢献だと。でもコロナ禍でお店が休業になり、大人がお酒を楽しんだり、集まって楽しんだりする場がなくなってしまった。同時に、子どもにとっても、友達とワイワイ楽しく遊ぶ場所がなくなっている。そんな様子を、父親として目の当たりにすることもあって、いろいろな機会が失われているときに、店舗営業以外のカタチで、ファイブグループとして地域貢献できることを考えるプロジェクトには意味があるなと。

木戸口:今までボランティアや社会貢献活動に関わってきたことがなかったので、そんな私に何ができるだろう、と考えることが出発点でした。「居酒屋大悟」の話を聞いて、営業活動とは違った取り組みを通して、新たな経験ができる機会となるし、今まで出会うことのなかった人と出会うきっかけにもなると感じました。

やりたいことは“楽しいでつながる世界をつくる”こと。

山崎:地域貢献プロジェクトとしては「子ども食堂」を柱にすることに決めたけど、そこにいたるまでの経緯を振り返ってみよう。

荒川:まず2021年の年初に生活に困っている人のためにお弁当を提供する機会があった。中身としてはお弁当をつくってその活動をしている人に手渡して、後は配ってもらうというもの。このとき驚いたのは、社会貢献活動をするよと社内で声かけしたら、店長以上の役職で半数以上の人が「やります!」と手を挙げたこと。

山崎:希望者全員が参加できないくらいやりたいと思ってくれる人が多かった。驚いたけど、嬉しかったね。その次は、3月に横浜で運営されている子ども食堂のサポートとして、その場でお弁当をつくり、お子さんに「はいどうぞ」と直接手渡すことをしたよね。

木戸口:お金をいただいてお客様に商品を手渡すという経験しかしたことがなかったので、どう振る舞えばいいのか最初は戸惑いました。でも、普段とは違う経験だからこそ学べることがあるし、一緒に参加したスタッフも新しい経験として楽しんでいましたね。

荒川:子どもたちに喜んでもらえたことが嬉しくて、こんな経験をさせてもらえて、こちらのほうこそ、ありがとうという気持ち。あと僕らとしてはやっぱり、関わる人の笑顔を直接見たい。ファイブグループのビジョンである“楽しいでつながる世界をつくる”がやりたいことなんだな、と。

店舗でどう継続していけるようにするか。そこが大事。

吉祥寺での子ども食堂活動支援

山崎:そんな流れもあって、間接的なサポートよりも、直接つながることのできる「子ども食堂」を地域貢献プロジエクトの軸に置くことにしようと。

荒川:そのときに場所を借りるよりも、なるべく自分たちの店舗で子ども食堂を開いたほうがいいなと。それで吉祥寺の「燻し家もっくん」で7月に実施することを決めて、吉祥寺エリアにあるファイブグループの店舗全体で子ども食堂に取り組むべく、他事業部を巻き込んで準備を進めたんだよね。

木戸口:コバさんが「居酒屋 大悟」で子ども食堂を開いたときの経験を元に、社外のどんな人とつながる必要があるか、どんな準備をしていく必要があるのかをつめていきました。

阿部:こうした社会貢献活動は、イベントとして盛り上がってそれで終わりでは意味がない。店舗でどう継続していけるようにするか。そこが最初からの課題。「居酒屋大悟」の場合は、店長の藤原くんが想いを引き取って、主体的に活動を進めてくれていることが何より大きい。

お客様にも活動に自然に参加していただける「子ども食事券」。

木戸口:毎日できるようなスタイルにしていることがすごい。

阿部:なぜ毎日できるかというと、大人には300円の「子ども食事券」を購入いただいて、それを壁に貼っておくと、子どもがそれを自由に取って食事ができるという方法を生み出したから。「子ども食事券」は購入した大人のメッセージも書けるし、それを使って食事をした子どもが「ありがとう」「ごちそうさまでした」といったメッセージを残せるようになっている。利用するのは営業時間中でも、事前に連絡してもらえば仕込みの時間中でも構わない。調理することは日常業務なので無理なくできる。

荒川:お客様に自然と参加してもらえるのがいいね。

阿部:社会に役立つことをしたいと思っても、どこからはじめればいいのかわからない。「子ども食堂」という活動を知ってもらいながら、「子ども食事券」で間接的に協力できて喜んでもらえる。お客様には子ども連れで来店いただき、壁の「子ども食事券」を利用してもらってもいい。その帰りに新しく「子ども食事券」を購入して壁に貼っていく方も増えている。こうやってサイクルをどんどん回して、活動をつなげていくことが大事だと思う。

子どもが1人でも安心して入ることのできる居酒屋があっていい。

お客様からの寄付メニュー「茶リティプロジェクト」導入

木戸口:子どもがいきなり一人で居酒屋に入ることは通常は難しいけど、子ども食堂を運営している安心な場所だと認知されていれば、1人でも入ってくることができますね。

荒川:親が用事で遅くなるようなときに、子どもに「先に行って、何か食べて待っててね」といった使い方をしてもらえる居酒屋になれたらいいと思う。地域の子どもにとって安心できる居場所になるということだから。

山崎:「子ども食事券」のアイデアは、今後取り入れてみたいと思う店舗も出てくるんじゃないかな。ファイブグループでは全店舗で「茶リティプロジェクト」が導入されて、対象のメニューを注文すると10〜50円(※店舗によって異なる)が子ども食堂活動の支援になるようになった。

木戸口:いただいた寄付をもとにした実際の子ども食堂活動の収支報告をするチラシも、興味を持って見てくださる方が増えていますね。

阿部:お客様に寄付いただくだけじゃなく、どういう使い方をしたのか、どんな活動ができたのか。どうやって継続していくのか、そこを伝えていくことは大事だよね。

他事業部と一緒に活動できることも新鮮。社外の人脈も増える。

山崎:地域貢献プロジェクトの手応えや、今後目指していきたいことは?

木戸口:はじめての経験が多くて勉強になっているし、他事業部の人と一緒に活動できることも新鮮。それに、これまで仕事でつながることのなかった社外の人脈や、社会との接点が生まれています。それがすごく楽しい。より多くのスタッフに、こうした新しい経験のできる機会を作っていけたらと思います。

荒川:まずは自分の事業部内に、こんなにも参加したい人がいたんだということが驚きだった。参加した人が店舗に戻ったとき、お客様と子ども食堂の話をしていて、それを聞いたアルバイトさんが「私も今度参加したい!」と手をあげるようなことが起きている。そういう気持ちを大事にしたいので、多くの人が参加できるよう、子ども食堂の活動を継続できるようにしていく責任があるね。

ファイブグループらしいやり方で、子ども食堂を運営していく。

阿部:社会にとっていいことなので、最初はイベントとして盛り上がるけど、単発で終わっては意味がない。「居酒屋大悟」では子ども食堂の運営以外にも、無償で運営されている学習支援塾に定期的にお弁当を提供するといった地域貢献活動もしている。自分の関わる地域が本当に必要としていること、求められることに継続的に応えていく存在になりたいね。

山崎:このプロジェクトは「やりたい!」と手を挙げて、参加者自身が楽しみながら、動いてくれることで成り立っている。そしてファイブグループらしいやり方で、明るく自由に、子ども食堂を“楽しいでつながる”場所にしている。本当に困っている子でも、ただ楽しくワイワイ過ごしたい子でもいい。誰もが気軽に来られる場所にすることが大事。こうした活動を継続していくことで、地域の人からお困りごとを相談されたり、一緒に何かやりませんかといった声が自然にかかるようになるんじゃないかな。そのときに笑顔で「やります!」と言って、自分たちの真価を発揮していく。そうやって地域貢献の輪を広げていきたいね。